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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)1347号 決定 1953年2月26日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人藤井英男の上告趣意は、単なる訴訟法違反の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(原審が第一審判決を「被告人の不利益に変更を求むるものであって控訴理由としては適法でない」と判示したのは所論第一点にいうように、刑訴四〇二条の不利益変更禁止の規定によったものではなく、利益なければ訴訟なしという訴訟法上の基本原理によったものと認むべきであって、この点についての原審判示は正当であり、また原審が「証拠の証明力は裁判官の自由な判断に委せられて居り、原審(第一審)が検察官作成の堤一郎に対する供述調書中の供述記載を証拠とするについて何等違法とする廉あることがない」と判示したのは、控訴趣意書中の事実誤認の主張を排斥し、この点についての第一審の判断を是認したまでのことであって所論第二点のような趣旨を包含するものとは解せられない。)また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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